「救急?様子見?」で悩んだ時に知っておいてほしいこと
冬は「少し調子が悪いだけ」「寒さのせいかも」と、受診を迷う場面が増えます。しかし、高齢者の場合、その”様子見”が取り返しのつかない結果につながることがあります。
ケアマネジャーとして現場で経験した事例を通して、受診の判断ポイントをお伝えします。
いつもと違う、その違和感
訪問すると、いつも居間で出迎えてくださる方がいませんでした。どうしたのか尋ねると「先週から起きてこない」とご主人。要支援の方なので、本来は3か月に1回の訪問でも問題ありません。ただしこのご利用者は高齢者夫婦世帯で、ご本人は「とにかく薬を飲みたい」と訴えが多い方。家事全般を担うご主人も心配されることが多く、毎月モニタリング訪問を行っていました。
明らかにおかしい状態
横になっている様子を確認すると、
- 声をかけても起き上がれない
- 会話がほとんど成立しない
- いつも使えているポータブルトイレに行っていない
- ご主人が紙パンツを交換している
それでもご主人は「いつものこと。横着しているだけです」と笑っておられました。しかし、これは「様子見」では済まされない状態です。私ははっきりと「この状況は、救急車で病院に行っていただく必要があります」とお伝えし、ご主人に救急車を呼んでもらいました。
寝ているだけ、ではなかった
結果、この方は1週間ほど寝ついた状態が続いたため、そのまま寝たきりになってしまいました。ご主人は「こんな日が来るのは時間の問題だった」と話されました。確かにそうかもしれません。しかし、「いつもできていたことができなくなった」時点で、緊急性は非常に高いのです。
一人暮らしの方の場合
別のケースです。
一人暮らしの方の入浴支援で、ヘルパーが訪問した際
- これまで一度もなかった失禁がある
- 配食弁当が冷凍庫に大量に残っている
- 本人は「元気」と言っている
という情報が入りました。迷いながらも訪問看護に相談し、すぐに訪問。そのまま訪問診療につながり、救急搬送・入院となりました。大きな病気が見つかりましたが、高齢のため積極的な検査や治療は行わないと、本人・家族で話し合い、自宅でのターミナルケアを選択されました。
「ちょっと違う」をどう捉えるか
- いつもできていることができない
- 生活のリズムが乱れている
- 排泄や食事に変化がある
- 反応が鈍い、会話がかみ合わない
判断に迷うこともあります。しかし、迷った時は医療につなげ、判断を仰ぐことが何より大切です。
まとめ
「救急か、様子見か」その判断に正解は一つではありません。
けれど、“いつもと違う”を軽く見ないこと、一人で抱え込まないこと
これだけはぜひ覚えておいてください。
ケアマネジャーや訪問看護、かかりつけ医など、相談できる人につなぐこと自体が、大切な支援です。