ー初回訪問で分かる「その人らしさ」の大切さー**
ケアマネジャーは、ご利用者を初めて訪問するとき、まず契約手続きや重要事項説明書の説明、介護保険証類の確認をします。そのうえで、アセスメントとしてご本人やご家族から丁寧にお話を伺います。生活歴、既往歴、病気や障がいの状況、現在の生活、介護サービスを利用したい理由など、本当に多くのことをお尋ねします。
あるご家族からは「まるで身辺調査だなぁ」と笑われたこともあります。確かに、ケアマネは驚くほど細かく聞きます。でもそれには理由があります。“生活そのもの”を支援するには、その人の当たり前の日常を知らないと始まらないからです。
▪️日課は「たいしたことない情報」ではありません
ケアマネジャーにとって、日々の習慣はとても重要な情報です。
- 1日の食事回数
- お茶や間食の習慣
- 毎日必ずしていること(仏壇の花の水替えなど)
- 洗濯や掃除のタイミング
- 入浴の頻度
- 朝型なのか夜型なのか
一見すると「誰でも同じでしょ」と思いがちですが、生活は人それぞれ。その違いが、介護サービスの計画や支援方法に大きく影響します。
例えばー
- 趣味に没頭すると食事を忘れてしまう
- お菓子を出されると全部食べてしまう
- とにかくトイレが近い
- 散歩の途中で必ずジュースを買う
たとえば、こうした”どうでもよさそう”な情報が、実は重要な目標設定につながったりします。
▪️「私はこういう人間です」と語っていただけると嬉しい
ケアマネジャーにとって一番ありがたいのは、「私はこういう生活をしている」「こういう人間なんです」と、ご本人の言葉で話していただけることです。
その人らしさが分かるほど、サービスの提案もしやすく、生活の困りごとも早く見つけられます。
▪️ある利用者さんとの会話から見えた“信頼関係”
先日、ある方に奥様とデイサービスを利用しませんか?とご提案しました。すると、
「毎週末は馬券買いに行くから忙しいわ。先生に言っといて!」
と明るく言われました。私が「毎週JRAですか?それならデイサービスに行っている場合じゃないですね」と返すと、
「G1専門だけどな〜」
と競馬談義が続きました。私は競馬はしませんが、話の内容は理解できたので楽しく聞き続けました。
後日、ジャパンカップの日には「あの方はどう過ごされているかな」と顔が浮かびました。こうして雑談をしていると、本音が出てきたり、後からご本人の方から相談してくださったり、信頼関係のきっかけになることがよくあります。
▪️ケアマネには“遠慮せず何でも話してほしい”

初回訪問は慣れないことも多く、質問が多くて驚かれるかもしれません。けれど、ケアマネジャーはそのひとつひとつの情報を大切に受け止め、支援につなげています。
長話でもかまいません。雑談でも大歓迎です。ケアマネには何でも話してください。あなたの生活のかたちを知ることが、より良い支援につながります。