季節の変わり目は、体調を崩される方が多くなります。ケアマネジャーとして気を配るのはご本人の体調だけではありません。実は、それ以上に介護を担う家族の体調を気にかけています。
介護者は、自分以外の誰かのことを常に気にかけて生活しています。休みたい時に休めず、疲れやストレスが溜まってしまうと、病気につながることが少なくありません。そして介護者が病気になると、家族全体が立ち行かなくなってしまいます。
事例:夫婦二人暮らしの場合
例えば、夫婦二人暮らしで妻が夫の介護を担っているケース。妻が入院することになり、夫に「一人で留守番しているよ」と言われても安心できるでしょうか?
実際には、夫は食事の支度や片付け、掃除、洗濯、ゴミ出し、お風呂の準備などをほとんど経験していません。普段は「ご飯ですよ」「お風呂ですよ」「ゴミを出して来て」と妻に促されて生活しているため、自分で全てをこなすのは難しいのです。
このような場合、夫自身もレスパイト入院をしたり、すぐに入所できる施設を探したりする必要があります。ショートステイがありますが短期間の利用では対応できないことの方が多いです。妻が退院したからといって、体調がすぐに元通りになるわけではありません。夫が「希望するかどうか」以前に、家では過ごせなくなる状況が現実に起きるのです。
家事の自立は誰にとっても大切
こうして考えると、男女を問わず「自分で家事ができること」「生活の基本を自立して行えること」はとても大切だと実感します。介護が必要になる前から、少しずつ準備しておくことが、いざという時に大きな安心につながります。
今回ご紹介したのは、数ある事例のほんの一つにすぎません。介護の現場では、同じように「介護者の体調」や「家事の自立」が課題となるケースが多くあります。季節の変わり目だからこそ、ご自身やご家族の体調、そして生活の準備について考えてみてはいかがでしょうか。