介護は、一人ひとり違います。
私はケアマネジャーとして27年間、多くのご利用者、ご家族と出会ってきました。
しかし、同じ方は一人としておられません。
歩んできた人生も、価値観も、家族との関係も違います。その違いが、その方らしい生活や介護のあり方につながっています。
ご本人が自分の思いを話してくださる場合は、その意思を大切にしながら支援を考えます。
一方で、ご本人が自分の思いを伝えることが難しい場合は、ご家族のお話を伺いながら、ご本人ならどう考えるだろうと想像し、支援を組み立てていきます。
ご本人の思いを尊重することで、ご家族の介護負担が大きくなってしまうこともあります。
反対に、ご家族の希望を優先すると、ご本人の意思を十分に尊重できていないのではないかと悩むこともあります。
そんな時は、ご本人ともご家族とも何度も対話を重ねます。
経験を積めば迷わなくなると思われるかもしれませんが、27年経った今でも答えが見つからないケースはあります。
それでも私は、ご本人やご家族が話してくださる言葉の中に、必ず答えにつながるヒントがあると信じています。
あるご利用者からこんな言葉をいただきました。
「ケアマネジャーさんにこんなことまで話してごめんよ。家族と違って何でも話せるから、つい、つまらんことまで話してしまう。」
その言葉を聞いた時、私は笑顔でこうお伝えしました。「いえいえ、どうぞ心ゆくまで何でも話してください。」
介護の相談は、制度やサービスの話だけではありません。
不安、迷い、愚痴、後悔、そして小さな喜び。
その全てが、その方らしい暮らしを支える大切な情報です。
だから私は今日も、ご本人とご家族の言葉に耳を傾け続けたいと思っています。
介護に「正解」はありません。だからこそ、一緒に考え、一緒に悩みながらその人にとって一番よい答えを探していきたいと思っています。

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