「昔は料理が得意だったのに…」
「毎日きちんと食事を作っていた人が、どうして食べなくなったの?」
介護サービスを利用し始めたご家族から、このような声を聞くことがあります。
食事を作ることは、献立を考え、買い物をし、食材を管理し、調理をして、決まった時間に食べるという多くの工程が必要です。実は、とても高度な生活動作の一つです。
加齢や病気によって心身機能が低下すると、一連の作業を行うことが難しくなります。長時間立って調理をすることや、冷蔵庫から食材を取り出すだけでも大きな負担になります。さらに認知機能の低下に伴い、味覚や嗅覚が変化し、以前のような味付けができなくなることもあります。そのことが本人の自信を失わせ、食事作りそのものを諦めてしまう原因になることも少なくありません。
現在は、高齢者向けの配食サービスや冷凍食品など便利なサービスが充実しています。しかし、毎日利用すると費用負担が大きくなったり、食事に飽きてしまったりすることもあります。
介護保険では、介護認定を受けることで、訪問介護(ホームヘルパー)が利用者と一緒に食事を作る「自立支援」のサービスを利用できる場合があります。できることを続けながら、安全に食生活を維持していくことが大切です。
一方で、ご家族からはこんな質問を受けることもありました。
「デイサービスではどんな食事が出るの?」
「飲み込みが悪くても食べられるの?」
「家族はどんな介護を受けているの?」
介護サービスは利用していても、その内容が見えにくいことがあります。
そこで、地域の介護サービス事業所と協力し、「町内介護サービス事業所見学会」を開催しました。
特別養護老人ホームのショートステイや複数のデイサービスセンターを見学し、訪問介護や訪問看護についても担当者から説明を受けました。デイサービスでは特殊浴槽の体験も行い、「こんなふうにお風呂に入れてもらっていたのですね」と驚かれるご家族もいらっしゃいました。
昼食には、実際にデイサービスで提供されている食事を試食していただきました。普通食だけでなく、飲み込みやすくするためのとろみの付け方や、とろみ茶の試飲、なめらか食の試食、市販の介護食も体験していただきました。
実際に食べていただくことで、「こんな食事なら安心ですね」という声が多く聞かれました。
ケアマネジャーは毎月のモニタリング訪問を通して、ご家族が本当に知りたいことを把握しています。介護者、ご利用者、サービス事業所をつなぎ、安心して介護を続けられる環境を作ることも大切な役割です。
この見学会をきっかけに、「デイサービス参観日」が始まりました。同じ事業所を利用する介護者同士が交流する座談会も開催され、介護の悩みや工夫を共有する場として好評でした。
介護サービスは利用するだけでなく、「見える化」することも大切です。ご家族が実際のサービスを知ることで安心につながり、利用者本人もより良い支援を受けることができます。
食事は一日三回、毎日の生活を支える基本です。だからこそ、その人らしく、おいしく、安全に食べ続けられる支援を考えていきたいものです。


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