ケアマネジャーをしていると、遠方に住むご家族と連絡を取ることがあります。
親御さんは一人暮らしだったり、介護サービスを利用していたり、施設で生活されていたり。
ご家族が近くに住んでいれば、何かあったときに顔を合わせて話すこともできます。
でも、遠方に住んでいるご家族の場合は、そうはいきません。
電話やメール、ショートメッセージなどで連絡を取ることになります。
そして、そのご家族の多くは現役で仕事をされています。
だから私は、電話をかける前にできるだけ「いつなら都合が良いですか」と確認するようにしています。
「いつ電話をかけても同じ」ではない
ケアマネジャーにっとては、必要な情報を伝えるための一本の電話です。
でも、電話を受けるご家族にとっては、その電話が1日の流れを変えてしまうことがあります。
例えば、仕事が始まる直前。
「今から仕事」と言うときに、親御さんの体調が悪くなった、転倒した、認知症の症状が強くなった…。
そんな話を聞けば、頭では「仕事に行かなければ」と思っていても、気持ちは親御さんのことでいっぱいになってしまうかもしれません。
電話を切った後も、
「大丈夫だろうか」
「何かあったらどうしよう」
「仕事を休んだ方がいいのだろうか」
と考え続けてしまうこともあります。
だからこそ、連絡する側には「何を伝えるか」だけではなく、「いつ伝えるか」も大切なのだと思います。
もちろん、緊急性があれば時間を選んでいる場合ではありません。
それでも、緊急ではない連絡なら、できるだけご家族の都合を確認してから電話をする。
そんな小さな配慮は大切にしたいと思っています。
自分自身が「連絡を受ける側」になって分かったこと
私自身も、父が施設で生活するようになり、家族として施設から連絡を受ける立場になりました。
父には認知症があります。
あるとき、父にBPSD(認知症の行動・心理症状)が出ていると連絡を受けました。
ケアマネジャーとして仕事をしている私は、「認知症なのだから、そういうこともある」
「施設の職員さんも大変だろう」
「仕方のないことだ」
頭ではそう理解していました。
それでも、その電話を受けた夜は眠れませんでした。
「大丈夫かな」「施設で困らせていないかな」
そんなことを考えているうちに、夜が過ぎていきました。
そこで改めて気づいたのです。
ケアマネジャーとして聞くのと、家族として聞くのとでは、同じ内容でも受け止め方が違う。
言葉は、受け取る側の状態でも変わる
同じ言葉でも、聞く人の気分や体調によって、受け取り方は変わります。
元気な日に聞けば、
「そうなんですね。分かりました」
と受け止められることでも、疲れている日や心配事を抱えている日に聞けば、
「そんなに悪い状態なの?」「どうしてそんなことになったの?」
と、不安が大きくなることがあります。
これは介護の連絡に限ったことではありません。
家族との会話でも、職場での会話でも同じです。
言った側には悪気はなくても、受け取った側の個々との状態によって、言葉の重さは変わります。
だから「きちんと伝えたから大丈夫」ではないのだと思います。
SNS、電話、面談。伝える方法はいろいろある
今は伝える方法もたくさんあります。
電話。ショートメッセージ。メール。SNS。
そして、直接会って話す面談。
便利になった一方で、どの方法で伝えるのが良いのか迷うこともあります。
文章なら相手の仕事を中断させずに住むかもしれません。
でも、文章だけでは声のトーンや表情が分かりません。
電話ならすぐに伝えられます。
でも、相手が今どんな状況なのかまでは分からないことがあります。
面談なら表情を見ながら話せます。
でも、遠方のご家族には簡単に来てもらうことができません。
だからこそ、その時々で方法を選ぶ必要があります。
「伝える」だけではなく「受け取るところ」まで考えたい
ケアマネジャーは、ご利用者やご家族にたくさんのことを伝えなければなりません。
サービスのこと。体調の変化。生活上の課題。今後のこと。
ときには、家族にとって聞きたくない話をしなければならないこともあります。
だからこそ私は、
「ちゃんと伝えたか」だけではなく、「相手はどう受け取っただろうか」
何年ケアマネジャーをしていても、伝えることの難しさを感じます。
一つの電話や言葉が誰かの1日を左右することがある。
「どう伝えたら、必要以上に不安にさせずに済むだろう」
伝えること…情報を渡すことだけではない。

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