認知症予防に「聞こえ」が重要視されています
ケアマネジャーとして情報をアップデートするために、さまざまな講演や研修を聴く機会を持つようにしています。
最近、認知症の予防について学ぶ中で、特に重要視されていると感じるのが「聞こえ」の問題です。
加齢とともに耳が遠くなることは珍しくありません。
しかし、聞こえにくくなっているにもかかわらず、補聴器の使用を検討される方は意外と少ないように感じます。
「自分はまだそれほど耳が遠くない」
「補聴器を使うには、まだ早い」
「補聴器を使っている人に聞いたら、音がうるさくて役に立たないと言っていた」
ご利用者との会話の中でも、このような言葉を耳にすることがあります。
確かに、補聴器を使うことには抵抗があるのかもしれません。
しかし、聞こえにくさをそのままにしておくことが、日常生活にどのような影響を与えるのか、考えてみる必要があると思います。
補聴器は高価!気軽に購入できるものではありません
補聴器の話になると、必ずと言っていいほどでてくるのが価格の問題です。
あるご利用者が、ご自分の補聴器を見せながら教えてくださいました。
「こっちは10万円。聞こえが悪いこっちは20万円」
えー!そんなにするんですか!思わず驚いてしまいました。
ブランドのアクセサリーにも引けを取らない金額です。
もちろん、補聴器は単なるアクセサリーではなく、聞こえを補うための大切な医療機器です。
それでも、年金生活を送る高齢者にとって、簡単に購入を決められる金額ではありません。
しかも、購入すればすぐに快適に聞こえるというものでもありません。
自分の聞こえに合わせた調整や、使い慣れるまでの時間が必要です。
「高いお金を払ったのに、うるさくて使わなくなった」
そんな話を聞けば、購入をためらうのも無理はないと思います。
聞こえているふりをしていませんか?
ご利用者と会話をしていると、時々こんな場面があります。
「あれ?今の話、聞こえていなかったのかな?」
「相槌が少し違うような…」
「もしかして、話を合わせてくださっている?」
ご家族や身近な人との会話でも、このように感じた経験はありませんか?
聞こえにくくても、何度も聞き返すことに遠慮してしまう方がいます。
「何度も聞くのは申し訳ない」
「聞こえないと思われたくない」
「話の流れを止めたくない」
そんな気持ちから、聞こえたふりをして相槌を打ってしまうこともあるのではないでしょうか。
しかし、会話の内容が分からないままでは、話をすること自体が負担になってしまいます。
聞こえにくさが人との交流を減らしてしまう
会話に自信がなくなると、人と会うことが億劫になることがあります。
地域の集まりに参加しても、周囲の話がよく聞こえない。
何を話しているのか分からない。
話しかけられても、うまく返事ができない。
そうした経験が重なると、次第に外出や人との交流を避けるようになるかもしれません。
一方で、話しかける側にも負担が生じます。
何度も同じことを伝える。
大きな声で話す。
それでも伝わらない。
最初は一生懸命話しかけていた家族も、いつの間にか必要なことしか話さなくなってしまうことがあります。
本人も家族も、悪気があるわけではありません。
それでも、会話が減り、人とのつながりが少なくなってしまう。
私は、ここに聞こえの問題の難しさがあると思います。
難聴と認知症には関係があるのでしょうか?
近年、難聴は認知症のリスク要因の一つとして注目されています。
聞こえにくくなることで社会的な孤立につながる可能性があります。
相手の言葉を聞き取ろうとすることに負担がかかり、会話そのものを楽しめなくなることも考えられます。
ただし、難聴があるから必ず認知症になるわけではありません。
また、補聴器を使用すれば確実に予防できるということでもありません。
大切なのは、聞こえにくさを年齢のせいだから仕方がないと放置しないことです。
人と話すこと。
誰かの話を聞いて笑うこと。
地域の集まりに参加すること、
家族と何気ない会話を楽しむこと。
こうした日常の交流を続けるためにも、聞こえを大切にしたいものです。
補聴器だけではなく、さまざまな選択肢があります
最近は、補聴器だけでなく、比較的手頃な価格の集音器なども販売されています。
5万円前後の商品もあり、以前より選択肢が増えていると感じます。
ただし、補聴器と集音器は同じものではありません。
補聴器は、聞こえの状態に合わせて調整する管理医療機器です。
一方、集音器は周囲の音を大きくする機器で、難聴の程度や原因に応じた調整には限界があります。
価格だけで判断するのではなく、まずは耳鼻咽喉科で聞こえの状態を確認することが大切です。補聴器の購入には、お住まいの市区町村の助成が利用できる場合もあります。
補聴器が必要な場合には、専門家に相談しながら、自分に合ったものを選びたいですね。
一度、ご家族で「聞こえ」について話してみませんか?
「テレビの音が大きくなった」
「何度も聞き返すようになった」
「会話の返事がかみ合わない」
「以前より人と会いたがらなくなった」
そんな変化はありませんか?
「一度、耳鼻科で耳の検査をしてみない?」
そんな声かけから始めてみてはいかがでしょうか。

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