認知症になっても、お盆は忘れない。体が覚えている季節の行事

蓮の花 認知症対応のあれこれ

介護サービスが必要になり、今日が何月何日なのか分からなくなる方がおられます。

通所サービスも「今日は利用日ですよ」と声をかけられて出かけるため、曜日の感覚はあまりありません。洋服も体感温度で選ばれるので、季節とは少し違う装いになることもあります。

そんな中でも、この時期になると不思議なことがあります。

「もうすぐお盆だから、お墓掃除をしないと。」「お花を用意しないと。」

そう話される方が少なくありません。

何月何日なのか、何曜日なのかは分からなくても、「お盆が近づいている」という感覚は残っているのです。

お墓を掃除して、お花を供える。きゅうりやなすで馬や牛を作る。迎え団子を作り、ご先祖様を迎えるために迎え火を灯す。

何十年も繰り返してきた季節の行事。

頭で日付を理解しているというよりも、長年積み重ねてきた生活リズムとして、体が覚えているのかもしれません。

ご本人が以前のようにお墓掃除へ行くことが難しくなり、ご家族が代わりにされることもあると思います。

それでも、お盆が近づくとどこか落ち着かず、「お墓はどうするの?」「花は買った?」と気忙しくされる様子が。

認知症になると、何も分からなくなってしまうと思われがちです。

しかし、長い年月をかけて積み重ねてきた習慣や季節の行事は、その人の心や体の中に深く刻まれています。

私は、このような場面に出会うたび、人の持つ力の不思議さを感じます。

認知症になって失われるものは確かにあります。

それでも、その人らしく生きてきた歴史や、大切にしてきた習慣は簡単には消えません。

だからこそ、私たちは「できなくなった」だけを見るのではなく、「今も残っている力」に目を向けたいものです。

今年のお盆も、それぞれのご家庭で、ご先祖様を迎える時間が穏やかなものになりますように。

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